スポーツ全般に関するニュースをお届けします!
スポーツに関するニュースをお届けします!
親の死に目に会えないという点では役者も、力士も、格闘家も、なんと因果な商売なことか。

 大相撲界から格闘技の世界に転向した元横綱曙の母、ジャニスさんが今月17日、呼吸不全で急逝した。60歳だった。平成5年6月のハワイ巡業のとき、息子に負けないような大きな体を揺すって会場に現れたジャニスさんに、当日のプログラムにサインをもらったことがある。ジャニスという自分の名前を書くのかと思ったら、英語で「曙ママ」と書いてあった。

 ジャニスさんの訃報(ふほう)が届いたとき、曙は新日本プロレスの試合に出場するため、長崎にいた。すぐにも飛んで帰りたかったに違いないが、「魂だけで闘いますよ」とその夜の試合を闘い、3日遅れの20日、ようやくハワイの母のもとに向かった。

 この曙、大相撲時代にも父のランディーさんを亡くしている。平成5年7月21日のことで、享年54歳。死因は糖尿病の合併症だった。このとき、曙はまだ横綱になって2場所で、終わったばかりの名古屋場所で横綱になって初めての優勝をしている。しかし、このときも、曙はすぐにはハワイの父のもとには帰れなかった。3日後、福井県鯖江市で横綱土俵入りをすることが決まっていたのだ。

 「いったんした約束を破ると、やっぱりアイツは外国人だから、と言われる。それでいいのか」

 この師匠の一言で、曙は悲しみを封印。無事に約束の土俵入りを済ますと、その日のうちに成田に移動し、ハワイに飛んでいる。

 曙は母の葬儀を済ますと、早々に日本にUターンし、29日にはもう神戸市のリングにあがるという。転向以降、曙はあまりピリッとしない。ぜひこの悲しみを乗り越えて感動を呼ぶ試合をしてもらいたいものだ。父との別れに必死に耐え、次の場所も連続優勝した大相撲時代を思い出して。
(夕刊フジ) - 10月24日17時1分更新