スポーツ全般に関するニュースをお届けします!
スポーツに関するニュースをお届けします!
第37回ニューヨークシティー・マラソンは5日、当地で行われ、全盲で下半身が不自由な静岡県浜松市の中王子みのりさん(33)が、車いす型の自転車に乗って42.195キロを完走した。中王子さんのような二重のハンディを持つ選手がフルマラソンの大会に参加し、ゴールしたのは世界で初めてという。7時間5分55秒をかけてゴールした中王子さんは「ニューヨークの風は冷たかったけれど、最高にそう快だった」と泣き笑いの表情で喜びをかみしめた。
 中王子さんは視神経が萎縮(いしゅく)する原因不明の病気で、幼いころに目が不自由になり、5年前からは下半身のまひが進行して車いすの生活になった。点訳校正などの仕事をしていたが、義足で同マラソンの完走経験がある米国人のディック・トラウムさん(65)と出会い、新たな世界が広がった。
 障害者と健常者が交流する市民団体「アキレス・トラック・クラブ」(本部・ニューヨーク)の会長を務めるトラウムさんは昨年、日本支部の催しに招かれた。その際、外に出て体を動かしたいと入会した中王子さんに、手でこぐ車いす型の自転車「ハンドサイクル」をプレゼント。中王子さんは「風を切って走ることができるのが魅力」と感じた。
 同マラソンには毎年、ハンドサイクルの人も、全盲の人も参加している。しかし二重のハンディを背負う中王子さんの出場は、安全確保の面などから難航。トラウムさんらが熱心に働きかけた末、最後は主催者が受け入れを決断した。
 途中、前輪が一部破損するアクシデントがあったが、4人の伴走者と沿道の声援に支えられて完走。中王子さんは「スタッフの人たち全員と喜びを分かち合えて、うれしさが何倍にもなった」と涙ぐんだ。「現実的ではないからといって、あきらめてはいけない。そのことを一人でも多くの人に伝えることが、ディックさんへの恩返し」という中王子さんの快挙。トラウムさんは「不可能なことなんて何もないと、彼女から教えてもらった」と話している。
(毎日新聞) - 11月6日12時7分更新