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肩、ひじ、手首、指先…。右腕に装着していた“リミッター”を、ひとつずつ外した。猛虎に訪れた、この日最大のピンチ。負けられないこの勝負に、血の香るマウンドに、阪神の守護神・球児が仁王立った。
 4点リードの八回二死一、二塁。いきなりのマウンドにも動揺はなかった。一発を浴びればたちまち1点差となるこの場面。強敵・福留にこん身の直球勝負を挑む。そしてフルカウントからの6球目は、外角いっぱいの152キロ。福留のバットは、ピクリとも動かなかった。
 「気持ちはいつもと一緒ですよ」。開幕からの疲労蓄積に悩まされた、この2カ月間。元来の真っ向勝負をあえて封印しながら、回復を待った。鉛のように重い体を慎重にいたわりながら、再び勝負の時が訪れることを信じた。そして迎えた最後の直接対決。「体調もよくなって、思い切って投げるだけだったんで…」。九回も切れ味抜群の速球を主体に、難なく3人斬り。最後はこん身の外角152キロで、アレックスを空振り三振に仕留めた。
 「奇跡の予感?それはまだ言えない、何とも…」。今はまだ、奇跡の扉に手を掛けたに過ぎない。一気の3タテ、そして竜撃墜へ-。最終決戦は、まだ始まったばかりだ。
(デイリースポーツ) - 9月30日10時50分更新